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小論文の書き方B 小論文の文章術
第3回は、実際に小論文をどう書くのかを説明します。 小論文は「作文」や「感想文」ではありません。 自分の考えを他のひとに伝えるための論理的な文章が論文です。 論理的な文章を書くためには手続き、言い換えれば手順とカタが必要です。
1. 発想
文章を書くためには、当然ながら、まず何を書くのかを考えなくてはなりません。
テーマは出題者によって提示されますが、具体的に何を書くのか考えるのは皆さん自身です。
では一体どうしたら良いでしょうか。
第1回の冒頭でも述べた通り、ここでも手順が大切です。
まず、出題されたテーマに関して、自分が知っていること、連想することを単語レベルで出来る限りたくさん書き出してみましょう。
ここで大切なのは、短時間(5分、長くても10分くらい)でとにかくたくさん書くこと、そのために集中することです。
短時間で大量に書き出した単語は無秩序です。
書き出した単語を見たらどれとどれが関連しているのか見当をつけ、ある程度のまとまりをつくって整理します。
この段階で自分が何を書きたいのか、あるいは何を書けるのかが見えてきます。
Aをもとに何を書くのか決定します。
このときに重要なのが、具体的な事例を述べられるものを選ぶこと。
抽象的な内容になればなるほど、後々ややこしくなり失敗するケースが多いです。
身近な具体例(しかも自分の経験に基づいていること)を挙げた小論文には説得力があります。
2. メモ作り
発想の段階で思いついた内容はまだ雑然としたものです。
次に実際に何を文章にしていくのかメモを作ります。
この段階で大切なのは、言葉よりもなるべく絵や図で表現することです。
言葉を並び替えて操作するだけでなく、自分が考えていることを紙の上に「イメージ」としてアウトプットします。
メモを作りながら、自分が一番言いたいこと、つまり結論は何なのかを明確にします。
この結論を効果的に相手に伝えるように文章全体をデザインします。
書いている間に結論が見えてくるような文章ではなく、はじめに結論があって、それを中心に全体が構成された文章を作りましょう。
3. アウトライン
どういう順序で、何を書いていくのか決定します。
大きく@序論A本論B結論の3段でアウトラインを組み立てます。
論文は構造的な文章でなくてはなりません。
つまり、どの部分で何を述べていて、しかもそれぞれの要素がどのように関連しているのかがはっきり分かるような文章を「構成」してください。
文章を書き始める前に箇条書きでどこに何を書くかを整理します。
序論では問題提起と自分の意見の提示を行います。
課題が賛否を問うもの(原発再稼働に賛成か・反対か、など)の場合は自分が賛成か反対か立場を明らかにした上で、課題文が与えられている場合には、自分がその課題文に対してどのような立場なのかを明らかにした上で(ここでも課題文に賛成か、反対か明確にしておいた方が書きやすい)、自分の意見を述べます。
ポイントは、大きな内容=抽象的な内容を書くことです。
序論のポイントは、読み手に読みの方向性を指示すること。
「私はこれからこういうことを話しますよ!」と宣言することです。
自分の結論を説得力のあるものにするために根拠・理由を挙げるのが本論です。
序論で「○○は××なのだろうか。私は・・・と考えている。」と宣言しますが、ここでなぜそう考えるのか、を具体的に述べていきます。
小論文試験の場合2〜3つの具体例を挙げるのが一般的です。
ここでは第1回で述べた、皆さん自身の「世界を見る目」や第2回に記した、各領域の知識が必要となります。
本論に基づいて、もう一度自分の意見を述べます。全体の議論を整理するまとめの部分です。
重要なのはB結論。
@序論もA本論も常に、B結論を念頭に入れて構成してください。
結論がぶれると、全体の構成が歪んでしまいます。
アウトラインをもとに文章化しますが、@序論20〜30%、A本論50〜60%、B結論10〜20%の比率で構成するのが目安です。
4. 文章化
意外なことと思われるかもしれませんが、実際に文章を紡ぐ、という作業は全体の手順の一部にすぎません。
いい小論文を書くためには@〜Bの手順の完成度を高くしてください。
料理に例えると、@〜Bは前日の仕込みと下ごしらえと調理過程で、文章化は最後の味付けと盛り付けです。
どんなにいい調味料を使っていいお皿に盛りつけても、素材とその準備がしっかりしていなければ人のこころに届く料理はできません。
文章化する際には、自分で考えてアウトラインを作ったものをどうやったら効果的に理解してもらえるのか、戦略的に言葉をつかうというのが課題です。
5. 冷静に!
何かを主張したいとき、そこには感情が伴います。
私は高校生のみなさんには妙に理性的であるよりは感情的であってほしいと思っています。
しかし、小論文を書くときは冷静になってください。
「私は怒っている!」と書いてみても「それで?」と言われて無視されてしまうだけです。
「怒っている!」という感情を持っていることはとても大事なのですが、そもそも何に対して怒っているのか?何が問題なのか?自分はなぜその対象に納得がいかないのかを冷静に分析してください。
そこから良い小論文が生まれてきます。
6. 添削指導を受けよう
ここまで小論文を作る手順を説明してきましたが、何より、とにかく書いてみてください。
そして、書いた文章はかならずほかの人に読んでもらってください。
文章はほかの人へのおくりもの(この文章も、私から皆さんへのおくりもの)です。
たくさん書いてたくさん読んでもらうことによって、自然と文章が磨かれてきます。
そして添削指導を受けましょう。
添削指導を受けて意見をもらわなければ、自分の文章の改善点は見えてきません。
このコラムを参考にして、積極的に小論文にトライしてみてください。
小論文試験がない人も、大学での勉強(レポートや試験)の準備となるはずです。
皆さんが書いてくれた文章を、今度は私が読むのを楽しみにしています。
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